Sさん夫婦は平成23年2月に夫婦揃って入所されました。
自営業で魚屋さんを二人で営んでいてこれまでお店のことが忙しく、あまり出かけたりなどできなかったそうです。
「お父さんが出かけることが好きではじゃなくてね、ドライブは好きで、たまに一緒にドライブしたくらいで、遊びに行ったとかはなかったね。」とお母さんからこんな話しを聞いたら、じゃあ今までやりたくてもできなかったことはやっていこう
ってことで、夫婦一緒に他の利用者さんたちと会津に旅行に行ったり、外食に行ったりして楽しんでもらいました
それから1年後、お母さんの方が元気がなくなってきて、表情も変わってきました。何とかお母さんに元気になってもらえないかと、娘さん夫婦が営んでいるとんかつ屋さんに今まで行ったことがないと言っていたので(自分たちも自営業をしていたから大変さが分かる。自分たちが行って変に気をつかわせて邪魔したくないと話していた。)行ってみたり、お母さんが歌が好きなのでカラオケに行ったり自宅に帰ってみたりしました。その時は元気だったころのお母さんに戻るけど、その後はまた表情が変わってしまっての繰り返しでした。
平成24年10月20日老衰でお母さんはお亡くなりになられました。
今までずっと一緒にいたので、お父さんは納棺の時にお母さんの顔を拭きながら「なんでこいつが・・・」とずっと泣いていました。僕たちはなんて言葉をかければいいのか分からなく、ただ傍にいることしかできませんでした。
それから施設に戻っても「うちの家内はどこに行った?」
「うちの家内が体が悪くて、入院してるんだ。行かなくちゃ。」と混乱していました。亡くなったことを説明すると「死んだ!?死んだなんて知らない。なんで死んだんだ。」と・・・その度にお墓参り、自宅に線香あげに行きました。
しばらくすると、お父さんはお母さんのことを言わなくなりました。お母さんのことを言うと、また思い出して、混乱してしまうのでは・・・辛い思いをさせてしまうのでは・・・とも考えましたが、今まで何十年も一緒にいた夫婦です
お母さんのことを忘れていいわけがない。天国のお母さんも忘れられたら悲しいのではないか。
ということで、命日の1日前でしたが、本日一緒にお墓参りに行きました